今回は中国語の勉強についてのお話。
皆さん中国語を勉強するときは拼音(ピンイン)で学んでいる方がほとんどだと思います。しかし、特に台湾にワーホリや留学で行き中国語を勉強しようと思っている方に非常にオススメなのが注音です!!
ちゃんと勉強しているのになんか発音がうまくならないという方、これから中国語を勉強しようと思っているという方にぜひ見ていただきたいです。
※ピンイン下げ、注音ゴリ押しに感じられるかもしれませんが、あくまで第二言語として中国語を学習する日本人にとって注音がおすすめだというだけであって、ピンインは使えない、などという記事ではありませんので予めご了承ください※
注音ってどんなの?
「ㄅㄆㄇㄈ…」みたいな一見漢字?カタカナ?となる台湾で使用されている発音記号です。中国がアルファベットを使用したピンインという発音記号であるのに対し、台湾ではみんなこれで発音を覚えるそうです。注音と呼ばれたり最初の発音4文字から「ボポモフォ」なんていったりします。
台湾に初めて来た頃、まだ中国語がわからない私は台湾人にいろいろと発音について質問をするのですが、決まって「ピンインがわからない、読めない」と言われました。最初のころは「本当は読めるのに読めないふりしているんだろ」とか思っていましたが、1年近く生活してみてあながち嘘ではないのだと思いました。
そうはいっても台湾人も名前の英語表記ではピンイン使うでしょ!!と思われるかもしれませんが、名前の英語表記はウェード式という表記方法になるらしく、ピンインではないとのことです。きちんとピンインがわかる台湾人は中国語教師や、わざわざ自分で学んだ人に限られるようですね。
私は中国語を学び始めたときはピンインで勉強していましたが、2,3か月目から日本語を学習したい台湾人との言語交換なるものを始めた結果、必要に迫られて注音を学習しました。
こんな発音していませんか?
「ウォーヘンシーフアンヘージウ」
これは実際に私が出会った中国語学習者の中で、ピンインでの発音学習による弊害が一番強いなあと感じた人の発音です。なんて言っているかわかりますか?
正解は、「我很喜歡喝酒」です。
ピンインで書いてみると wo3 hen3 xi3 huan1 he1 jiu3 ですね。
この人は特にピンインで使われているアルファベットのローマ字読みに強く引っ張られてしまい、顕著なものをあげるとhen を「ヘン」、jiuを「ジウ」と発音していました。
ここまで酷くなくても、いまだにピンインのアルファベットに引っ張られているという方は多いのではないでしょうか?なかなか言いたいことが伝わりにくい、と思っている方の中には実はこのピンインのローマ字読み弊害が起きている方がいるかもしれません。
等と懂の発音、ちゃんと区別できている?
「等一下」「我不懂」などで使用頻度もかなり高いこの2文字。ピンインで書くと懂はdeng3、等はdong3 ですが、きちんと違いを意識しながら発音しようとしているでしょうか?
私が華語中心でイチから中国語を学び始めたころはピンインで授業が進んでいたのですが、この二つの文字の発音は一緒だと思っていました。老師が発音しているのを聞くと何か違う、でも自分で発音してみようとするとどこに違いがあるのかわからない。だから結局同じ発音になってしまう…。中国語の発音を勉強する上で最初に当たった壁がこの2つでした(zhi chi shiなどはさらにレベルが上過ぎて気にする余裕もなかったのです…)。
では、注音を勉強すればこの違いが分かるようになるのか?私個人としては「わかるようになる!!」と注音の魅力を強くお伝えしたいと思います。
この2つの文字を注音で表記してみると、
等 ㄉㄥˇ 懂 ㄉㄨㄥˇ
あれ、なんか懂のほうにはへんなバツ印が入っている…
私が初めて注音を学んだ時の感想はこんなものでした。
ピンインに照らし合わせてみてみると、[ㄉ=d]、[ㄥ=eng]、そしてバツ印のような[ㄨ=u]となります。注音を学んでから、懂には[ㄨ=u]の発音が含まれているということを意識して発音するようになり、単純なローマ字読みの「ドン」という発音から、少し口を突き出し、日本語にすると「ドゥオン」のように発音してみると、徐々に発音が良くなったねと言われるようになりました。ただし、あくまで日本語表記にすると「ドゥオン」のように書くしかないだけで、実際にはこんなに強くウの発音は出ていません。同じ「オン」と発音するにも、あまり口を開かずに「オン」というのではなく、「ウ」の発音をするときのように口を軽く突き出し縦長に開いて「オン」と発音するイメージです。これだけでもだいぶ日本語的な発音から抜け出せると私は思います。
重要なのは、中国語の発音の構造を中国語の発音記号で理解し、それに近づけようとしていく意識と姿勢です。母国語が中国語の方は、ピンインを学ぶ前から耳で正確な発音を習得し、そのあとにアルファベットにその発音を落とし込むため何ら問題はありません。しかし、日本人のように英語やローマ字としてアルファベットを学習した後で、その文字をピンインとして利用するとどうしても慣れ親しんだ文字と発音の結びつきが自然と出てきてしまうのだと私は考えています。そのため、言語を学ぶときはなるべくその言語の発音記号をきちんと習得するのが上達の近道だと思うのです。
その観点から行くと、注音は何千、何万と漢字を学習している私たちからしても全く発音の推察もできない象形文字のようなもの。だからこそ、耳で聞いた発音と視覚情報をリンクさせるには一番適していると思ったのです。
注音を学習すれば発音の構造が理解できる (ai ui iu編)
では、注音を学ぶと発音がピンインで学ぶときとどのように違って見えるか少し例を見ていきましょう。
最初にピンインにすると非常に厄介な複母音を見てみましょう。
まずは「愛」。ピンインで書くと[ai4」ですが、注音だと[ㄞˋ]と書きます。皆さん、中国語を学び始めたときに[ai]って[a]と[i]の2音節だと思っていませんでしたか?私はずっとそう思っていました。しかし、注音を見れば[ai]で一音節なのだと一目瞭然です。だって[ㄞ]一文字なのですから。
続いて「對」。ピンインで書くと[dui4]ですが、注音だと[ㄉㄨㄟˋ]です。この注音を一文字ずつピンインに置き換えていくと
ㄉ=d、ㄨ=u、ㄟ=ei
となります。つまり、発音するときに[u]と[i]の間に軽~く[e]の発音を入れる気持ちで口を横に開きながら[i]の音に着地するイメージで発音してみるとより自然に聞こえるのです(あくまで主観です)。
[ui]が本来[uei]を短縮表記してることなんて知ってるわ!!と上級者の方々に怒られてしまいそうですが、私自身が注音を学習してこの事実に気づいたときにかなり衝撃でした。もし一人でもこのブログでそれに気づいてもらえればうれしいな、という気持ちです。
[ai][ui]よりも罪深い複母音がいます。[iu]です。こいつのせいで冒頭で紹介した方も含めて相当数の方が「就」を「ジウ」と発音してしまっているのを見てきました。[ü]と同じくらい厄介なやつなので紹介させてください。
「有」 「就」
この二文字の母音の部分は同じ[i]+[ou]であるのにもかかわらず、前者は[you]、後者は[jiu]と表記されます。そんなの慣れだよ、と言われればそれまでかもしれませんが、[you]は子音がなく、母音だけで形成される発音のためか特別な表記の仕方です。こいつは中国語の発音学習においてかなりの厄介者ともいえるでしょう。
一方、注音で表記すると
有 ㄧㄡˇ 就 ㄐㄧㄡˋ
となり、母音部分は同じで、頭の子音が異なるだけ、というのが直感的に理解できます。このように、第二言語として中国語を学ぶ人にとって注音は非常に有用ではないでしょうか?
書きたいことが書ききれなかった・・・
注音で発音を考えるとこんな風に発音が視覚的に見えていいよ!というのがまだまだあります。
本当はこの記事1回で注音の勉強の仕方なんかまでまとめてご紹介しようと思っていたのですが、長くなってしまいそうなので2回に分けてお送りしたいと思います。
こんなに偉そうに書いていますが、私本人の発音が完璧かと言われると全くそんなことありません。いまだに聞き取ってもらえないことばかりです。
それでも、このブログを読んでくださっている方の多くは台湾が好きだったり、実際に台湾に住んでいる方、これから台湾に来ようとしている方が多いと思うので、よかったら覚えてみてはいかがでしょうという気持ちで書かせてもらっています。
自己マンになってしまいますが、また明日以降も続きを書いていこうと思うのでお暇な方は次回も読んでみてください。
apu
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